murmur

モノノフの端くれのたわごと

最高の家出@北九州 感想

舞台「最高の家出」大千穐楽を観劇した感想です。

 

正直にいいますと、高城れにさんのファンなだけで、舞台観劇の超初心者で素人の一般人の感想です。

劇・パンフレット内容のネタバレ及び、自身の解釈を大いに含みますので、ご注意ください。

 

 

 

まず、今回の観劇にあたり、最高なことにフォロワーさんのおかげで2列目真ん中というすごく近距離で観ることができました。本当に感謝しきれないくらいありがたいです。おかげさまで皆さんの表情の機微がよく見えたし、れにちゃんに至っては唇のツヤツヤまで肉眼で確認出来ました。(よこしまな気持ちとか変な意味じゃないです。)

こんな贅沢は今後一生できないでしょう。一生忘れない。

 

 

今回の観劇にあたり、まっさらな状態で挑みたかったので、あらすじも読まず予備知識はフライヤー?宣伝の写真のみ。だから、箒が結婚してることにみんなと一緒に驚いてしまった!笑

ストーリーにはついていけました。解釈はそれぞれだと思います。

パンフレットを読み、今回の舞台の作・演出である三浦直之さんの言葉で

 

家出は失敗が宿命づけられています。そんななかで、家出の成功を描くとしたらどんな形があるんだろう?この作品は、その疑問に対するぼくなりの解答です。

【公式パンフレット17ページより引用】

 

 

とあり、腑に落ちたというか、この劇が自分の中に落とし込まれた気がします。そうか、これは「成功した家出」の物語なんだ。

 

 

 

箒が劇場に入り、静男を演じていくことで、繰り返し繰り返し同じ舞台を演じている劇場で暮らしていた人たちに変化をもたらしていくのがすごく丁寧に描かれていたなと思う。

蒔時アハハ(祷キララ)と箒が徐々に絆を深めていくのがとても良かった。アハハは名前が一番覚えやすかった笑

アハハは最初冷たいんだけど、なにも知らない無知がゆえの純真さでどんどん箒に心を開いていくのがよくわかった。

アハハは劇場で育ち、珠子を演じているうちに役と自分の境界線が曖昧になってたから、静夫役である港を好きになっていたのかな。

 

 

祷キララさんは声にとても落ち着きがあって、聴いていてとても心地が良いし、セリフがとてもスッと入ってくるように感じた。なんていうのかな、音の厚みがあってハスキーなお声なんですが、声質が楽器のように響くような感じ。そう響きがあるの。すごく個性があって魅力的な役者さん。

 

 

藤沢港の東島京さんについて。

れにちゃんも言ってたけど、東島さんが19歳なんて本当に信じられない。挨拶の時には普通(いい意味でね)の好青年だったから。本当に自信に満ち溢れた演技で港にカリスマ性を感じた。一緒に観ていた他の方も同じように感じたそうなので、俳優さんは本当にすごいなと感じた。

 

 

 

劇の冒頭の立花箒(高城れに)のシーンは、スマホや簡易テントなど「現代」を象徴したもので、その後向かった劇場で演じられている劇はセットや衣装から「昭和」を感じていたため、勝手に故郷を亡くした珠子さんの体験を「戦争・空襲」であると漠然と解釈したけど、一緒に観た方は、『ラストで海のシーンもあるし「震災」では?』と言っていた。パンフレットの内容的には、そうかもしれないな。もちろん、受け取り手が様々な理由を想像して解釈できるように明言はされてないから自由でいいとは思うけれど。

 

 

珠子さんの「家出」は思わぬ形で終わり、失敗も成功もできなかった?から、過去に囚われ続けていたのかな。帰る前提で出かけて、家がなくなるなんて思ってもみないよな。

ラストシーンではアハハと箒が珠子と静男を演じたことで、役の珠子さんは「ただいま」で帰ってこれたのかな。劇中劇には出てこなかった「ただいま」というセリフ。

劇場から外に出るシーンではアハハが箒に「ただいま」と言っていて家(自分の居場所)は人でもあるんだなとも思った。

きっとあの後、箒は淡路さんの元には戻らないのかもな。わからないけど。

 

 

 

最初はとても親切で気のいいお兄さんだった蝉川夏太郎(亀島一徳)さんが実は珠子さん側の人間だったことが驚きだった。彼の目的はなんだったんだろう。

箒と夏太郎の掛け合いでは、小道具が恵方巻きしか見つからないくだりがとても面白かった。腕が伸びてたところとか今思い返してもなんだったんだろうアレは笑*1

劇中はクスッとするところもたくさんあって思った以上に笑ったなあ!

 

 

芦川背中(板橋駿谷)(もうみんな道行さんと呼んでいた?)道行さんは現実と劇が一緒になっているのにループしていると感じて真相を探ろうとしていた。

一番長く演じていたのかな?珠子さんはアハハに背中みたいになって欲しかったってことかな。彼はあの劇場から出る描写はなかったけれどどうなったのかなと思う。

劇場に残ったのは、珠子と夏太郎と背中だけ?そもそも主役がいなくなったから劇場は終わりなのかな。

 

演じられていた板橋さんのご挨拶は声が大きくて元気なイメージそのままですが、単純で一直線な背中の役とはギャップがあるしっかりしたコメントをされていました。演劇に対しての情熱を感じたので、背中さんと根本的なところは一緒かもしれない。インタビューでは「阿部寛」イメージで演じると言われていて、思い返せばなんとなくわかるかもしれない。笑

 

 

 

向田淡路(尾上寛之)は出てきた瞬間に空気が変わった気がするな。皆が虚構を演じる不思議な空間に突然「現実」がやってきた感じ。スーツでビジネスリュックで。箒ちゃんがイマジナリーフレンドを大切にする空想家なら、あまりにも対極な存在。二人の出会いは素敵だったけど、パンフレットの尾上さんのインタビューであった「主導権を握ってしまう、気が遣えないけどかわいい人」って感じはたしかにある。嫌いではないけど、ズレてるなって感じ。思ったのは道行さんと雪代さんの結婚式のスピーチで道行にアドバイスしたていで、自分の気持ちを代弁させてたところ。あれは少しひどいんではないか?笑

 

尾上さんは終わりの挨拶で、れにちゃんがアドリブにうまく返せなかったって悔しがっていた話をしてくれて、れにちゃんと仲良しなのがわかってニコニコした。ファンを喜ばせようとしてそのお話をしてくれて優しいとても気遣いのできる方なんだろうなと思った。

 

 

 

川名足取(重岡漠)

川名身軽(篠崎大悟)も魅力的だったな。いつの間にか足取を応援している自分がいて、話せたときは感動した!

彼らはいつからいるかわからないけど、兄弟でいるってことは一緒にやってきたのか?それともどちらかが追って来たのかな?

箒との関わりで足取が喋れるようになって自分の気持ちをいうことができるようになったのがとても大きな変化のように思う。この兄弟も箒とアハハと共に外に出る決断をしたってことはいろんなことと決別をできたのかもしれない。

 

 

町山テレカ(島田桃子)が一番に外の抜け道を見つけたんだね。行き来していたようだし、港がいなくなっても劇を続けようとしていたように責任感がある人だから、外に出て戻らないのは躊躇っていたのかも。それでも「子供」が出来たという大きなきっかけで決心がついたのかな。テレカは雪代を演じながらも道行には恋しなかった。他に好きな人ができたから、道行との結婚式を演じたくなくなり、結婚式前にいなくなったとか?

 

島田さんは華やかでベテランの風格というか、プロってこうなんだろうなを演技で感じた。柔和な雰囲気で優しい声質。パンフレットの座談会で島田さんは英語と韓国語を話せるから台詞にいれようって話してたけど、そういえば劇中で英語のセリフあったなってニヤっとした。笑

 

 

 

 

登場人物9人すべてがキャラが立っていて、観終わった時には全員に愛着がわき、物語が終わるのが名残惜しかった。

どの俳優さんも個性的で素敵だったし、役にピッタリとしか思えなかったんだけど、パンフレットを読んで知ったことで、三浦さんと劇団ロロのメンバーには深い絆がある上で、その役を当てているし、役者さんも細かく指定されない役を自分なりの解釈で演じて役を深めているそうで。そりゃああんなに自然体でぴったりな演技にならないよなぁ。と。みなさんの途方もない努力と練習によって出来上がった舞台なんだと改めて思いました。素敵すぎる。

 

 

パンフレットは読み応えがありすぎてすっごく良かった!そして三浦さんと佐久間さんの対談もすごく良かった。長く活動されているからこそ生まれる歳を重ねることについてのお考えや、お二人がれにちゃんのことをわかってくれてて、涙が出てきたし、三浦さんがどういう思いでこの舞台を作ったのか、また、ももクロを聴いてたって知れたのはありがたかった。

 

『最高の家出』三浦直之×佐久間宣行 パンフレット掲載対談

https://stage.parco.jp/blog/detail/3309/

 

パンフレットにはない れにちゃんと三浦さんの対談

https://engekisengen.com/genre/play/74199/

 

 

 

一回しか観てないから本当勿体無いことした。遠征すればよかったんだよバカたれ。ちがう角度からもう一度観たいし、ラストまで知った上で観たかったなぁ。

 

劇中はアドリブをたくさん入れてくれて良かったなー。

資さんうどんのくだり、小倉城の城壁持って来た、れにちゃんは朝小倉城行って来た、あとはラストらへんのポケモンのご当地マンホール。ジュラルドンって言ってたかな?誰かポケモンファンがいるのかな?笑

 

 

余韻がすごいし、ぐるぐる考えがめぐる。みなさんの熱い思いで作られた素敵すぎる舞台でした。本当に素晴らしい。

いろんな考察を見て考え方も変わるかもしれませんが、取り急ぎ、現時点での私の感想でした。最高の家出を観ることができて良かったです。

 

 

 

 

*1:他の方の意見で「あれは千と千尋の神隠しの釜じぃのパロディだ」ってのがあって、その通りかもしれません。「ここで働かせてください」という箒のセリフが千と千尋と一緒だなと思ったので。